【10月21日 AFP】中国広東(Guangdong)省で、車に2回もはねられ重傷を負いながら、通行人に無視され放置されていた2歳の女児が21日、病院で死亡した。女児を治療していた病院が明らかにした。

 事件があったのは、13日。広東省仏山(Foshan)で車にはねられた2歳の女児、悦悦(Yue Yue)ちゃんが、血を流して路上に横たわっているそばを、18人もの通行人が見て見ぬふりをして通り過ぎる様子をとらえた防犯カメラの映像が、インターネットに投稿されたことから、中国人のモラル低下を憂うコメントが殺到した。最終的に、ごみ収集業者が、ようやく悦悦ちゃんを路肩に運び、救助を要請した。

 悦悦ちゃんを治療した医師は、AFPに対し、悦悦ちゃんは臓器不全で死亡したと語った。

 悦悦ちゃんの死は、中国版ツイッター「新浪微博(Sina Weibo)」で最も関心を集めているトピックの1つで、人々は「さよなら、悦悦ちゃん。天国には車が1台もなくて良かったね」「ネットに書き込まれたコメントはみな偽善で、素通りした18人が現実だ。さよなら、生まれ変わったら中国に生まれてきてはだめだよ」などと、悲しみや怒りのコメントを寄せている。

 通行人らが悦悦ちゃんを助けなかったことについて、悦悦ちゃんが負傷した責任を問われることを恐れたためだとの見方もある。2006年に南京(Nanjing)で、高齢女性を助けようと車を停めた運転手が訴えられるという事件があったからだ。

 2006年の事件では、車を運転しているときに高齢女性が倒れるのを目撃した男性が、女性を助けようと車を停止させたが、女性は男性の車にはねられたと主張。結局、男性は裁判所から賠償金4万5000元(約55万円)を女性に支払うよう命じられた。

 ある「新浪微博」ユーザーは21日、「南京での事件によって、中国全土で親切な心が破壊された。そこからの回復は難しい」と書き込んでいる。

 仏山警察によると、悦悦ちゃんをはねた運転手2人は、1人は事件当日の夜に逮捕され、起訴手続き中。もう1人は3日後に自首したという。(c)AFP