【10月19日 AFP】(写真追加、一部更新)米オハイオ(Ohio)州で18日、珍獣を集めた飼育園からライオンやトラ、クマ、オオカミなどの猛獣56頭が逃げ出す事件が発生した。19日までに48頭が射殺され、6頭が捕獲されたが、オオカミとサルそれぞれ1頭ずつの行方がまだ分かっていない。

 猛獣たちがいたと思われる飼育園では、空になった飼育小屋数棟の近くで、所有者の遺体が発見された。所有者は猛獣を逃がした後、自殺したものとみられている。

 飼育園周辺は封鎖され、住民には外出禁止令が出されている。学校も休校になった。同州マスキンガム(Muskingum)郡のマット・ルッツ(Matt Lutz)保安官は地元紙コロンバス・ディスパッチ(Columbus Dispatch)に対し「われわれの最重要任務は、住民の安全を守ることだ」と述べた。

 18日午後5時30分(日本時間19日午前6時30分)ごろから、警察に猛獣の目撃情報が寄せられ始めたという。警察によると、屋外の飼育小屋にいたグリズリー(ハイイログマ)、ツキノワグマ、オオカミのほか、ライオンやトラ、チーターなどネコ科の大型動物など全部で56頭が逃げ出したとみられている。屋内でも霊長類を中心にした動物が飼われていたが、こちらは逃げていなかった。

 遺体で見つかった園の所有者、テリー・トンプソン(Terry Thompson)氏(62)は武器の不法所持による1年間の禁錮刑を終え、3週間前に連邦刑務所から出所したばかりだった。

 コロンバス・ディスパッチによると、この飼育園は2008年6月に連邦当局の家宅捜索を受け、銃100丁以上が押収されていた。またトンプソン氏は以前にも、飼育していた動物を逃がしたことで罰金を科されたことがあった。

 家族が現場近くの畜産農場を所有しているケイト・ライリー(Kate Riley)さん(20)は同紙の取材に、トンプソン氏が時々やって来ては、自分が飼育しているライオンの餌用に死んだ牛をもらい受けていったと述べ、「彼は体中、ひっかき傷だらけでした」と語った。ライリーさんによると、トンプソン氏の妻は最近、離別して出て行ったばかりだった。(c)AFP