【10月8日 AFP】米ニューヨーク(New York)市警は8日までに、銀行やレストラン、小売店などで顧客が使ったクレジットカードからカード情報を盗み、偽造クレジットカードを作っていた国際的な個人情報(ID)窃盗組織を一斉摘発した。

 当局によると、ニューヨーク・クイーンズ(Queens)区を拠点とし、アジアやアフリカ、欧州、中東につながりを持つ5つの犯罪組織の111人以上が摘発され、86人が身柄を拘束された。

 レイモンド・ケリー(Raymond Kelly)ニューヨーク市警視総監は「彼らは銃を突きつけて強盗をしたわけではないが、被害者の受けた害は一緒だ」と述べた。クイーンズ区のリチャード・ブラウン(Richard Brown)地方検事は、「捜査当局がこれまでに遭遇したことのある個人情報窃盗、クレジットカード詐欺の事件の中でも飛びぬけて大規模で、最も洗練されているケースだと確信を持って言える」と述べた。

 2009年10月に始まった捜査の過程で、強盗や窃盗などの容疑で別に24人が逮捕された。

■「スキミング」で情報盗む

 一味はレストランや小売店、銀行などで、クレジットカード情報を不正に読み取る装置を使う「スキミング(skimming)」という手口で個人情報を盗んでいた。犯行は店の従業員が行い、店のオーナー自身が荷担した例さえあった。

 盗まれた個人情報はクイーンズで活動する5つの犯罪組織の上層部に渡され、さらに「加工業者」へ渡って盗んだ情報を使った偽造クレジットカードが作られた。

 アメリカン・エクスプレス(American Express)、マスターカード(Mastercard)、ビザ(Visa)、ディスカバー(Discover)などのクレジットカードが、偽の社会保障番号やロゴ、時にはニューヨーク州の運転免許証番号に似せた番号も使って偽造されたという。

 こうしてできた偽造カードは「ショッパー(買い物屋)」と呼ばれるメンバーに渡されていた。ショッパーたちは高級ホテルやビーチリゾートで豪勢な暮らしを楽しみながら、高級家電製品など容易に転売できるものを買い集めていた。検察当局によると、1年4か月間の被害総額は1300万ドル(約9億9700万円)に上るという。(c)AFP