北朝鮮の「暗殺道具」、韓国が公開
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【10月8日 AFP】韓国で北朝鮮を批判する活動家を殺害するために、北朝鮮の工作員が携行していたとみられる毒針が仕込まれた「暗殺道具」を韓国当局が押収し、公開した。
ソウル中央地検によると、9月3日にソウル市内の地下鉄で逮捕した男が持っていたもので、それぞれ見かけはペンと懐中電灯だが、毒針を発射できるようになっていた。
同地検によるとこの男は、北朝鮮批判を行っている活動家、朴相学(パク・サンハク、Park Sang-Hak)氏を地下鉄駅に呼び出し殺害しようとしていたが、朴氏は韓国の情報機関から事前警告を受け、男に会いに行かなかった。
韓国のテレビは7日、懐中電灯型の武器から発射された毒針が、5メートル離れたところにあるマットレスに深く突き刺さる様子を放送した。KBSの番組に出演した医師は、針の先に塗ってあった毒は5秒で心筋をまひさせることができると解説した。
■「家族に危険」、脱北後に再転向
地検はこの男の名前をアン(An)容疑者とのみ発表している。男は40代で、北朝鮮の特殊部隊員だった。90年代後半に脱北者として韓国へ来たが、北へ残してきた家族に危険が及ぶと北朝鮮当局から脅迫され、再度の転向を強要されたと報じられている。「暗殺道具」は今年4月に、国名は明らかにされていない第3国で、北朝鮮当局関係者から毒物の錠剤3錠と一緒に受け取ったとされる。
標的とされた朴氏は、ビラをくくりつけた風船を北朝鮮に飛ばす活動を行ってきた。北朝鮮は朴氏の活動に激怒し、風船の打ち上げ場所を砲撃すると警告したこともある。
北朝鮮は過去にも、黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ、Hwang Jang-Yop)元朝鮮労働党書記ら、韓国内で北朝鮮を批判する人の抹殺を試みたことがある。1997年には金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の最初の夫人、故・成恵琳(ソン・ヘリム、Sung Hye-Rim)氏のおい、李韓英(イ・ハニョン、Lee Han-Young)氏が韓国で射殺されている。(c)AFP