【10月7日 AFP】昨年11月、大阪市此花区の柔道場に通っていた小学1年の男児(当時6)を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた柔道指導者(36)に対し、大阪地裁は5日、求刑通り罰金100万円の判決を言い渡した。

 判決によると、男児は繰り返し投げ技をかけられ、脳腫脹(しゅちょう)で昨年11月に死亡した。被告は稽古の中で過剰に男児に投げ技をかけたことを認めていた。

 柔道事故被害者の団体によると、練習中に柔道技によって起きた事故について柔道指導者の過失が問われた全国初の刑事裁判だった。柔道の練習やいじめまがいのしごきで死亡した生徒の数は、1983年から2010年までの27年間で少なくとも100人以上に上るという。

 名古屋大学大学院教育発達科学研究科(Nagoya University Graduate School of Education and Human Development)の内田良(Ryo Uchida)准教授によると、学校での柔道練習中だけで1983年から2010年までに少なくとも114人の死亡が報告されている。今回の大阪の事件のように、学校外での練習も入れた数は明らかになっていないという。

 末の息子が15歳の時に柔道の練習で脳障害を負った小林恵子(Keiko Kobayashi)さんは、大阪地裁の判決について「歴史的」だと歓迎しながらも、ひとりの子どもの命と未来が奪われたことを考えれば、100万円という罰金は妥当なのかと疑問を投げ掛けた。

 柔道には身体的な危険がつきものであることから、いじめやしごきを行った指導者でも刑事訴追を免れられると多くの人が指摘している。

 2011年までの8年間で死亡事故も含む86件の事故を把握しているという全日本柔道連盟(All Japan Judo Federation)は6月に安全基準を見直し、頭部の負傷リスクに警鐘を鳴らした。(c)AFP

【参考】全国柔道事故被害者の会のサイト(日本語、英語)
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