「人質にされた」、釈放の米国人ハイカーが会見 米政府批判も
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【9月26日 AFP】イランで2年前にスパイ容疑で拘束され、21日釈放された米国人ハイカー2人が25日、米ニューヨーク(New York)で帰国会見を開き、イランが欧米との勢力争いの中で自分たちを「人質」として利用したと非難した。拘束されていたテヘラン(Tehran)のエビン(Evin)刑務所では、暴力を振るわれる受刑者らの苦しみに満ちた叫び声を聞いたという。
シェーン・バウアー(Shane Bauer)さん(29)とジョシュア・ファタル(Joshua Fattal)さん(29)は、帰国から数時間後に会見し、イランでの過酷な日々について語った。
「家族や恋人からの手紙を受け取るためだけに、何度もハンガーストライキをする必要があった」とファタルさん。「何度も、あまりに何度も、暴力を受ける他の受刑者たちの叫び声を聞いた。彼らを助けるためにできることは何もなかった」
「最初から、われわれが人質だということははっきりしていた。人質というのが最も正確な表現だ。なぜならば、イランはわれわれの無実を確実に知りつつ、この事件を常に米国との政治対立に関連付けたからだ」(ファタルさん)
■拘束、有罪、突然の釈放
2人は2009年7月31日、もう1人の女性、サラ・ショウルド(Sarah Shourd)さんと3人でイラン国境近くのイラク山岳地帯をハイキング中、イラン当局に拘束された。3人は、誤ってイラン領内に迷い込んだだけでスパイではないと主張し続けた。
「サラとジョシュ、それに私はイラン体制の残忍さを体験した」とバウアーさんは話した。「外の世界や家族たちからほぼ完全な隔離状態に置かれ、権利と自由をはく奪された」
「われわれの拘束が長引いた唯一の理由は、米国とイランとの32年間に及ぶ敵対関係だけだ。米国人だというだけでスパイ罪で有罪になった。それほど単純な話だ」とバウアーさん。2回開かれた法廷は「全くのいんちき」で、2人がスパイだという「ばかばかしいうそがでっちあげられた」という。
釈放の経緯についても2人は説明した。刑務官が突然、独房ではなく下の階に2人を連れ出し、指紋を取り、衣類を与えたという。行き先を告げられないまま、刑務所内の別の場所に連れて行かれると、そこにオマーンのカブース・ビン・サイド(Qaboos bin Said)国王の特使が待っており、2人に「さあ帰ろう」と言ったという。
■米国側の拘束施設も批判
「皮肉なのは、私もサラもジョシュも、敵対関係を永続させている米国の対イラン政策に反対しているという点だ」――。バウアーさんは、イランに全ての「政治犯」の釈放を求めた後、米政府を批判した。
2人を担当していたイラン人刑務官は、たびたびグアンタナモ湾(Guantanamo Bay)にある米拘束施設や米中央情報局(CIA)の拘束施設に言及し、2人に対するイラン側の待遇を正当化していたという。
「米政府の人権侵害を理由に、われわれが受けた仕打ちが正当化できるとは思わない。全く思わない。だが、米国のこうした行動が、イラン政府を含む他国の政府に、同様の行動を取る口実を与えていると思う」とバウアーさんは語った。(c)AFP/Brigitte Dusseau
シェーン・バウアー(Shane Bauer)さん(29)とジョシュア・ファタル(Joshua Fattal)さん(29)は、帰国から数時間後に会見し、イランでの過酷な日々について語った。
「家族や恋人からの手紙を受け取るためだけに、何度もハンガーストライキをする必要があった」とファタルさん。「何度も、あまりに何度も、暴力を受ける他の受刑者たちの叫び声を聞いた。彼らを助けるためにできることは何もなかった」
「最初から、われわれが人質だということははっきりしていた。人質というのが最も正確な表現だ。なぜならば、イランはわれわれの無実を確実に知りつつ、この事件を常に米国との政治対立に関連付けたからだ」(ファタルさん)
■拘束、有罪、突然の釈放
2人は2009年7月31日、もう1人の女性、サラ・ショウルド(Sarah Shourd)さんと3人でイラン国境近くのイラク山岳地帯をハイキング中、イラン当局に拘束された。3人は、誤ってイラン領内に迷い込んだだけでスパイではないと主張し続けた。
「サラとジョシュ、それに私はイラン体制の残忍さを体験した」とバウアーさんは話した。「外の世界や家族たちからほぼ完全な隔離状態に置かれ、権利と自由をはく奪された」
「われわれの拘束が長引いた唯一の理由は、米国とイランとの32年間に及ぶ敵対関係だけだ。米国人だというだけでスパイ罪で有罪になった。それほど単純な話だ」とバウアーさん。2回開かれた法廷は「全くのいんちき」で、2人がスパイだという「ばかばかしいうそがでっちあげられた」という。
釈放の経緯についても2人は説明した。刑務官が突然、独房ではなく下の階に2人を連れ出し、指紋を取り、衣類を与えたという。行き先を告げられないまま、刑務所内の別の場所に連れて行かれると、そこにオマーンのカブース・ビン・サイド(Qaboos bin Said)国王の特使が待っており、2人に「さあ帰ろう」と言ったという。
■米国側の拘束施設も批判
「皮肉なのは、私もサラもジョシュも、敵対関係を永続させている米国の対イラン政策に反対しているという点だ」――。バウアーさんは、イランに全ての「政治犯」の釈放を求めた後、米政府を批判した。
2人を担当していたイラン人刑務官は、たびたびグアンタナモ湾(Guantanamo Bay)にある米拘束施設や米中央情報局(CIA)の拘束施設に言及し、2人に対するイラン側の待遇を正当化していたという。
「米政府の人権侵害を理由に、われわれが受けた仕打ちが正当化できるとは思わない。全く思わない。だが、米国のこうした行動が、イラン政府を含む他国の政府に、同様の行動を取る口実を与えていると思う」とバウアーさんは語った。(c)AFP/Brigitte Dusseau