【8月17日 AFP】英下院の文化・メディア・スポーツ特別委員会は16日、廃刊となった英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」の電話盗聴事件に関し、「編集会議で盗聴が広く話し合われていた」とする同紙の元王室担当記者が書いた手紙を公開した。

 この手紙は、王族の従者らの電話を盗聴した罪で2007年1月に禁錮刑を受けたクライブ・グッドマン(Clive Goodman)氏が、刑期を終えた同年3月、解雇は不当だとして同紙の発行元ニューズ・インターナショナル(News International)に送ったもの。

 同氏はこの中で、「編集長が盗聴は禁止だとはっきり言うまで、電話盗聴は日々の編集会議で広く話し合われていた」と記している。編集長とは、今年1月までデービッド・キャメロン(David Cameron)首相の主任報道官を務め、同紙の電話盗聴事件に絡んで7月に逮捕されたアンディ・クルソン(Andy Coulson)容疑者だ。

 手紙には、「クルソンは電話盗聴スキャンダルを隠そうとした」とも書かれていた。グッドマン氏の公判中、クルソン容疑者は、電話盗聴スキャンダルに同紙を巻き込まないことに同意すれば解雇は思いとどまってやると持ちかけられたという。グッドマン氏はそれを受け入れ、「同紙はこの約束を守ると思っていた」という。

 この手紙の内容は、メディア王ルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏と息子のジェームズ・マードック(James Murdoch)氏が7月19日の証人喚問で行った「電話盗聴に関しては一切知らなかった」という証言と食い違うことになる。同委員会は9月6日にニューズ・オブ・ザ・ワールドの法律顧問だった人物などマードック氏側の幹部4人を再喚問することにしている。同委員会は、そこで得られた証言の内容によっては、ジェームズ氏などの再喚問も検討している。(c)AFP/Alice Ritchie