【7月4日 AFP】イタリア北部で3日、高速鉄道路線の建設に抗議するデモ隊が警官隊と衝突し、約200人が負傷した。

 衝突が起きたのは、トリノ(Turin)近郊のキオモンテ(Chiomonte)のトンネル建設現場。警察によると、約6000人のデモ隊のうちの少人数のグループがトンネル内に浸入し、警官隊と衝突した。催涙弾や投石、火炎瓶などによる小競り合いが1日中続き、警察官少なくとも188人、デモ参加者数十人が負傷したという。

 問題となっている高速鉄道は伊ミラノ(Milan)と仏パリ(Paris)を結ぶもので、欧州鉄道網の戦略的路線とするべく、イタリアとフランスが2001年に建設に合意した。完成すれば、2都市の移動時間を7時間から4時間に短縮できる。総工費は推計150億ユーロ(約1兆8000億円)。

 路線の要となるキオモンテのトンネルは長さ58キロメートルで、うち12キロがイタリア国内となる。2013年内に建設に着工し、23年ごろの運行開始を目指している。

 だが、地元スサ渓谷(Susa Valley)の住民らは、トンネル建設によって環境が破壊されるとして、建設に強く反対している。6月27日にも、今回と同じトンネル建設現場で警官隊とデモ隊の衝突があり、警察官25人、デモ参加者4人が負傷している。(c)AFP