【7月2日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は1日、国際通貨基金(IMF)前専務理事ドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)被告(62)に性的暴行を受けたホテル女性従業員の証言の信憑性が揺らいだきっかけは、この女性がボーイフレンドと電話で交わした会話だったと報じた。

 ある捜査当局幹部が同紙に語ったところによると、被害者女性は事件発生から24時間後にボーイフレンドと電話で話した。会話は女性の出身国である西アフリカのギニア共和国のフラニ語で行なわれた。録音の内容が6月29日になって初めて英語に翻訳されると、捜査関係者の間に緊張が走ったという。

■「あの男はお金を持っている」

 この捜査当局幹部によると、被害者女性は「心配しないで。あの男はお金を持っている。私は自分が何をしているかは分かっている」という趣旨のことをボーイフレンドに話したという。

 ボーイフレンドはマンハッタン(Manhattan)のチャイナタウン(Chinatown)で手に入れたデザイナーズブランドの服の偽物をアリゾナ(Arizona)州でマリフアナと交換しようとして、アリゾナ州の入国管理局に収容されており、そこで被害者女性と電話で話したという。

 ニューヨーク・タイムズによると被害者女性の弁護士は、被害者女性はボーイフレンドが「薬物の密売人」だったとは知らなかったと話している。

■ストロスカーン氏は自宅軟禁を解かれる

 1日、ストロスカーン被告はマンハッタンの裁判所に出廷した。検察側は被害者女性が大陪審に虚偽の証言をしていたと述べ、ストロスカーン被告は自宅軟禁を解かれた。熱気に包まれた法廷を出たストロスカーン被告は妻の肩に腕を回し、肩の荷が下りたかのような笑顔を見せた。

 保釈金100万ドル(約8000万円)と出廷等担保金500万ドル(約4億円)は近く返還される。まだ裁判が続く可能性もあるためパスポートは当局が預かるものの、ストロスカーン氏は米国内であれば好きなところに行くことができるようになった。

 足首への監視装置の装着や、外出の制限、武装した警備員による24時間の監視を受けてマンハッタンの高級マンションで暮らすなどの保釈条件も解除された。(c)AFP