【6月16日 AFP】インターネット上で世界的に有名になったシリアのレズビアン・ブロガーが米国人男性の創作した架空の人物だった問題に絡み、この一件を取材していた米紙ワシントン・ポスト(The Washington Post)がこのほど、米国の有名なレズビアン・ニュースサイトを運営する女性編集者も、実は男性だったことを突き止めた。

 ポスト紙によると、2008年に立ち上げられた米レズビアン・ニュースサイト「レッツ・ゲット・リアル(Lez Get Real)」の編集者で同性愛者の女性とされていた「ポーラ・ブルックス(Paula Brooks)」氏は、実際はオハイオ(Ohio)州に住む建築作業員の男性、ビル・グレーバー(Bill Graber)氏(58)だった。

 ポスト紙は、シリアの同性愛者の女性ブロガー「アミナ・アブドラ(Amina Abdullah)」さんが執筆しているとされていたブログ「A Gay Girl in Damascus(ダマスカスのゲイ・ガール)」について取材を進める中で、このブログに「レッツ・ゲット・リアル」が関係しているのではないかとにらみ、「ポーラ・ブルックス」氏に接触を試みた。

 しかし、電話をすると「ブルックス」氏の父親を名乗る男性が出て、「ブルックス氏は耳が聞こえないので、電話取材には父親を通してしか応じられない」と説明したという。

 その後もポスト紙が何度も電話をかけてこの男性と話したところ、ついに男性のほうから「グレーバー」と名乗り、「ポーラ・ブルックス」は自分が演じていた架空の人物だと認めたという。

 グレーバー氏は同紙に対し、親しい友人のレズビアン・カップルが世間から不当な扱いを受けているのを見て、同性愛者が直面する問題を扱うウェブサイトを「善意」から始めたと語った。本名を使わなかった理由は、「同性愛者ではない男性が同性愛者のことについて書いても、誰もまじめに受け取ってくれないだろうと思ったから」だと釈明している。

 サイトを立ち上げるにあたり使用したのは妻の名前だったが、妻はこのことに全く気づいていなかった。

 シリアのブログ「A Gay Girl in Damascus」の執筆者「アミナ・アブドラ」さんをめぐっては、英エディンバラ大学(University of Edinburgh)の修士課程で学ぶ米国人の中東問題活動家、トム・マクマスター(Tom MacMaster)氏(40)が創作した架空の人物だったことが12日、判明したばかり。(c)AFP

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