【6月14日 AFP】世界各国の「法の支配」の実態をまとめた年次報告書「法の支配インデックス(Rule of Law Index)」が13日に発表され、中国で基本的人権の保護が弱いことや、ロシアの「深刻な欠陥」、米国の差別問題などが取り上げられた。

 報告書は「法の支配」推進のための学際的取り組みを行う「ワールド・ジャスティス・プロジェクト(World Justice Project)」が、慈善財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)からの資金提供を受け、毎年まとめているもの。政府の責任が追及されているか、司法制度を利用することができるか、権利が保護されているか、犯罪や汚職が防止されているか、などに基づき、66の国と地域をランク付けしている。

「法の支配」指数が最も高かったのはスウェーデンとノルウェーだった。

■中国は基本的人権、インドは統治機関、ロシアは抑制均衡に問題

 中国は法制度の質や効率、説明責任が「大幅に改善」されたと評価。一方で、司法の独立という領域ではさらに改善が必要だと指摘した。また、労働権(61位)、集会の自由(66位)、言論の自由(66位)など、基本的人権の指標が弱かった。

 インドは、言論の自由が強く保護されており、司法制度も独立性を持ち、比較的開放的な政府があり、「抑制と均衡」も機能している。だが、満足度の低い統治機関のせいで、法の支配へのマイナス影響が不断に生み出されていると指摘した。

 一方、インドの裁判所は混雑しており、裁判過程は時間がかかり、法的処置は不十分で、汚職が多く、警察による差別や虐待も珍しくないと評価した。

 BRICsの中で最も低く評価されたのはロシアだった。抑制均衡が政府各省庁で深刻に不足しており(55位)、結果として汚職や刑事免責、政治介入などに特徴づけられた体質がもたらされていると指摘。また、言論の自由や結社の自由、プライバシーの恣意的な侵害など、基本的人権の侵害もみられると評価した。

■イタリアに批判、米国は差別・格差問題

 西欧は世界の優等生だったが、イタリアだけは大半の項目で厳しい判定を下された。

 また、米国もランクは高く、特に抑制均衡や、市民的自由の保障、司法制度の独立性などが高く評価された。だが一方で、司法制度の利用の点で所得による差がみられ、一般的な認識として、少数民族や外国人が警察や裁判所で不平等な待遇を受けている点も指摘した。(c)AFP