【6月8日 AFP】米デラウェア(Delaware)州で7日、患者の女児ら86人を性的に虐待した罪など24の罪に問われている小児科医アール・ブラッドリー(Earl Bradley)被告の公判が行われた。

 ブラッドリー被告は1994年から、犯行が発覚し逮捕された2009年12月まで診療していた。この間に患者の子どもたち計86人に性的暴行を加え、その様子をビデオで撮影していたという。被害者のうち85人が女児で、ほとんどが当時3歳未満だった。

 公判で検察側の証言に立った科学捜査班の捜査官は「これほどひどいものは見たことがない」と語った。1人でビデオ映像を見たというこの捜査官は、被告に虐待された子どもが息を詰まらせて失神するというあまりに酷い内容に激怒し、怒りのあまり画面に向かって「その子を放せ!」と怒鳴ったという。

 裁判を傍聴していた被害者の家族の間からは、捜査官の証言を聞いてすすり泣く声がもれた。怒りのあまり法廷を後にする家族もいた。

■ビデオの証拠能力が争点に?

 一方、ブラッドリー被告側の弁護士は、ビデオテープの押収は正式な令状なしに行われており、正当な理由なき家宅捜索や証拠品の押収は米憲法における権利侵害にあたると主張した。
 
 発言の機会を与えられたブラッドリー被告は「私は証言しないことに決めた」とだけ述べた。判事は計13時間におよぶ証拠のビデオ映像を見た上で判決を下すと述べた。

 有罪になればブラッドリー被告は終身刑を受ける可能性がある。裁判を傍聴した、刑事事件を手がけているというある弁護士は、被告側にチャンスがあるとすれば、正規の手続きを経ずに押収されたことを理由に州最高裁がビデオ映像を証拠として認めない可能性にかけることではないかと言う。

 ブラッドリー被告は既婚者で4人の子どもがいる。(c)AFP