【6月8日 AFP】米テキサス(Texas)州で7日、ヒューストン(Houston)郊外の私有地に切断された遺体が埋められているとの通報を受けて警察が遺体を捜索していた事件は「デマ」だったことが明らかになった。

 この事件は、霊能者を名乗る女性がヒューストン近郊ハーディン(Hardin)の私有地に多数の遺体が埋められていると2度にわたって電話で警察に通報したことで始まった。

 通報の内容が住居内や敷地の細部まで詳細だったことや、指摘された住居の玄関先で血痕が発見されたことから、警察では通報は信頼性が高いと判断。捜査令状をとり、敷地や住居内の大掛かりな捜索を行っていた。

 地元メディアも、「子どもを含む25から30人の遺体が発見された」などと書きたてた。しかし結局は、これらの報道も誤報に終わった。通報があった敷地からは、1遺体も発見されなかったからだ。

■血痕だけは本物?

 同州リバティ(Liberty)郡保安官事務所のレックス・エバンズ(Rex Evans)隊長は、「通報があった敷地内と住居をくまなく捜索したが、遺体が埋められていることを示す物証は得られなかった」と発表した。

 だが、リバティ郡のクレイグ・マクネアー(Craig McNair)郡政委員は、デマ通報によって閑静な街に報道陣が押し寄せて大騒動となったことに不快感を示し、「どういう人物なのかは知らないが、デマ情報を通報した女性に事情を聴くつもりだ。デマによって騒動を起こした責任を問うために身柄を拘束することもありうる」と語った。

 一方、遺体が埋められていると通報された敷地の所有者のジョー・バンクソン(Joe Bankson)さん(44)は、長距離輸送トラックの運転手で、騒動の最中は仕事のため数日間、自宅を離れていた。

 バンクソンさんは、自宅の庭で警察が遺体を捜索していると聞いてパニックになったと、地元紙ヒューストン・クロニクル(Houston Chronicle)に語っている。「誰も殺してなんかいないよ。ぼくには友人も大勢いるけど、誰かが死体を埋めるのを手伝ったこともない」

 また、玄関先で見つかったという血痕については、数週間前に娘のボーイフレンドが酔っ払って手首を切ったときのものではないかと、地元テレビに語っている。「丸1日かけて血をふき取ったけど、まだ血痕が残っていたのかもしれない」。このボーイフレンドは現在、精神科の病院に入院しているという。(c)AFP

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