【5月18日 AFP】難しい案件は、ベンジャミン・ブラフマン(Benjamin Brafman)弁護士(62)の望むところだ。今度のクライアント、国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn)専務理事は、地位が高く、最初から分が悪い。世界中のメディアがその言動に注目している。

 ブラフマン弁護士は、ホロコーストを生き残ったユダヤ人移民の両親から生を受け、ニューヨーク(New York)のユダヤ人地区の質素な家庭で育った。ブラフマン自身、正統派ユダヤ教徒だ。

 有名弁護士としては珍しく、アイビーリーグではないオハイオノーザン大学(Ohio Northern University)を卒業。入学前は夜間学校に通い、学費捻出のためコメディアンをやっていた時期もある。

 キャリアの出発点はニューヨークの大手法律事務所で、マンハッタン(Manhattan)の検察庁に移ってからは地方検事補まで登り詰めた。

 だがその後、弁護士に転進。麻薬マフィアの弁護人を引き受けたことで名前が知られるようになり、セレブの案件を担当して不利な状況下から無罪を勝ち取るなどして、ニューヨークで最もタフで切れる弁護士として不動の地位を築いた。児童虐待罪で裁判にかけられた米歌手マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)を無罪にしたことは有名だ。

■「戦いは始まったばかり」

 ブラフマン氏は、ニューヨークでホテルの女性従業員に対する性的暴行と強姦未遂などの容疑で逮捕されたストロスカーン容疑者の弁護団に加わったことで、再び脚光を浴びることとなった。弁護人を引き受けたのは逮捕のニュースが伝えられてから数時間後のことだった。

 ストロスカーン容疑者は性的暴行など7つの罪に問われているが、容疑者はすべてについて無罪を主張。ブラフマン氏は早速、「容疑者は犯行直後にホテルから逃走した」とする警察の見解を否定し、証人を用意していることを明らかにした。

 16日の罪状認否手続きで、容疑者は保釈金100万ドル(約8100万円)のほか、渡航関連書類一切を預けて市内の娘の自宅に滞在することを条件に保釈を申請したが、裁判官は保釈を認めなかった。

 だがブラフマン弁護士は、「この戦いは始まったばかり」だと余裕の表情を見せている。(c)AFP/Gregor Waschinski

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