エストニア人旅行者7人が誘拐される、レバノン
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【3月24日 AFP】レバノンの治安関係者によると23日、東部の同国有数の観光地ベカー高原(Bekaa Valley)を自転車で旅行していたエストニア人7人のグループが武装グループに襲われ、車で連れ去られた。
エストニア人旅行者は全員男性で、シリアからレバノンへ合法的に入国していた。一行は現地時間23日午後5時30分(日本時間24日午前零時30分)ごろ、ベカー高原の都市ザフレ(Zahle)の工業地帯で、ナンバープレートをつけていない白いバン2台と黒いメルセデス(Mercedes)1台に阻まれた。
治安関係者の話では、旅行者たちは銃を突き付けられバンに押し込められた。武装グループの1人は覆面をしていた。一行を乗せた車はベカー高原東部Kfarzabad村の方角へ向かった。この村にはパレスチナ解放人民戦線総司令部派(Popular Front for the Liberation of Palestine-General Command、PFLP-GC)の活動拠点があるという。
PFLP-GCはシリアの首都ダマスカスを拠点とするアハメド・ジブリル(Ahmed Jibril)代表が率いる親シリアのパレスチナ組織。レバノン国内のPFLP-GCのラメズ・ムスタファ(Ramez Mustafa)広報担当は、同組織は誘拐に関係していないと否定している。
現在、レバノン軍と警察が7人の身柄を無事に取り戻すべく捜索しているが、誘拐が政治的動機によるものかどうかは明らかになっていない。
レバノンでは1975~90年の内戦時代には欧米人の誘拐が相次ぎ、特に82~90年にかけては当時の西側諸国を主とする100人近くが拉致されたが近年はまれにしか起きていない。ただし2010年9月にはポーランド人2人が誘拐され軍に救出される事件が起きた。この時も今回と同じベカー高原にある街バールベック(Baalbek)で起き、拉致したのは地元の有力部族の勢力だった。(c)AFP/Hassan Jarrah