【3月23日 AFP】ドイツで、実の娘と義理の娘、義理の息子の3人に20年以上にわたって性的虐待や売春強要を続け、義理の娘に8人の子どもを産ませていた男に対し、西部コブレンツ(Koblenz)の裁判所は22日、禁固14年6月の刑を言い渡した。

 ドイツ西部の小村フルーターシェン(Fluterschen)に住むトラック運転手のデトレフ・シュピース(Detlef Spies)被告(48)は、実の娘ジャスミンさん(18)と義理の娘ナターシャさん(28)が12歳の頃から、日常的に2人に性的虐待を加え始めた。また義理の息子に対する性的虐待でも今回、有罪が下された。

 シュピース被告には、未成年者に対する性的虐待について28件、児童に対する深刻な性的暴行について42件、子どもが14歳を超えてからに関しては、自分の保護下にある人物に対する性的虐待として63件について有罪が言い渡された。

 また被告は義理の娘ナターシャさんに8人の子どもを産ませた(後に1人死亡)ことも認めたが、今回はこの件については裁かれていない。

 傍聴者が詰めかけた法廷でヴィンフリート・ヘトガー(Winfried Hetger)裁判長は、「被告は自分の家族を私物のように扱い、そうすることは『許されているのだ』と犠牲者たちに言っていた」と述べた。

■娘の12歳の誕生日から強姦、売春強要

 公判では被告の残虐な行為が次々と明るみにされた。実の娘が12歳の時、クリスマス間近の誕生日に、森の中に停めた自分の車の後部座席で初めて強姦した後、子どもたちに対する日常的な暴行は始まった。また被告は2人の娘に、ケバブ・レストランを経営する男2人を相手に、レストランの奥の部屋や倉庫、アパートの部屋などで何十回も売春させていた。男たちからは毎回30~50ユーロ(約3400~5800円)を取っていた。また娘が暴行されている間、シュピース被告はそれを見ながら時々自慰を行っていた。

 3人の子どもはすべて同じ母親の子だが、この母親も夫である被告から度々、意識を失うほどひどい暴力を受けていた。子どもたちへの虐待が発覚したのは 2010年、ジャスミンさんが母親に宛てて詳細を記した手紙をナターシャさんが取り上げ、ソーシャル・サービスに提出したのがきっかけだった。シュピース被告は同年8月に逮捕された。

■「量刑すべてを加算すれば禁固500年10月」

 裁判長は「量刑すべてを加算すれば禁固500年10月になるが、ドイツの法ではそれを科すことが可能でない」と述べた。判決の禁固14年6月は、被告が 21日、弁護人を通じて全面的に供述を行ったため、ドイツで同罪に適用される刑罰としては最も重い禁固15年をわずかに下回った。

 ドイツのメディアは今回の事件を、オーストリアで実の娘を24年間監禁、性的暴行を加えて7人の子どもを産ませ、2009年に無期刑を受けたヨーゼフ・フリッツル(Josef Fritzl)受刑者の事件と比較して報じている。(c)AFP/Simon Sturdee