【3月10日 AFP】リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の次男、セイフイスラム・カダフィ(Seif al-Islam Kadhafi)氏が英ロンドン(London)北部の高級住宅地に保有する英ロンドン(London)の豪邸が9日、活動家団体によって占拠された。

 新ジョージ王朝様式のこの邸宅を占拠した「トップル・ザ・タイランツ(Topple the Tyrants、暴君を倒せ)」を名乗る団体のメンバーたちは、この邸宅はリビアの人びとのものだと主張。ほどなく他の活動家らも加わり、屋根の上からスローガンを叫んだ。

 同団体の広報は、「いまリビアで戦い、命を捧げているリビアの人びととともに、セイフイスラムの1000万ポンド(約13億円)の豪邸を占拠した。われわれはカダフィ政権がリビア国民から盗んだ資産の差し押さえを英国政府が正しく遂行できるかどうか、疑いの目で見ている」と述べた。

 木々に囲まれたこの邸宅には八つの寝室や屋内プール、ジェットバス、サウナ、スチームバスルームがあり、地下室には幅4メートルのスクリーンが設置された映画室もある。

 英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)を卒業したセイフイスラム氏は、2009年にこの物件を購入した。しかしリビアの反体制デモが激化すると、1095万ポンド(約14億7000万円)で売りに出された。現在は市場に出ていないようだが、英国バージン諸島(Virgin Islands)の管理会社によって週9750ポンド(約130万円)で賃貸に出されている。

 王政時代のリビア国旗を振っていた活動家のひとりは、「奴がこの家を売れば、その金はリビア国民を殺すための資金となる。そんなことはさせない」と語り、「平和的なデモなので、家を傷つけたりはしない。ただ、この家はセイフではなくリビアの人びとの物だと主張したかった」と述べた。

 ロンドン警視庁(Scotland Yard)はAFPの取材に対し、不審者が侵入したとの通報を受け警察官が現場に出動したが、民事問題なので状況を見守っていると述べた。周辺のパトロールを強化しているが、これまでに逮捕者はいないという。(c)AFP/Nathalie Auriol