【2月28日 AFP】ロイター(Reuters)通信のカメラマン、村本博之(Hiroyuki Muramoto)さん(当時43)が前年4月にタイのバンコク(Bangkok)で軍とデモ隊の衝突を取材中に銃弾を受けて死亡した事件を調べていたタイ特別捜査局(DSI)が28日、バンコクで記者会見した。

 特別捜査局は兵士が撃った銃弾で村本さんが死亡した可能性があるとして、詳しい捜査のためこの件を首都警察に送っていた。しかし特別捜査局のタリット・ペンディット(Tharit Pengdith)局長は会見前日の27日、「権威ある医師による報告書によると、日本人カメラマンを死なせたのはカラシニコフ自動小銃(AK-47)だった。タイ軍はこの種の銃を使用していない」と述べ、当初とは異なる見解を示していた。

 28日の会見でタリット局長は、当初の結論は、デモ隊と軍部隊の両方がいた場所で発砲があったという、当時現場にいた警察官1人の目撃証言に基づいたものだったと述べた。会見に同席した警察の検視官は、検視報告書と写真を調べた結果、村本さんは直径7ミリ以上の銃弾で死亡したとみられ、この大きさの銃弾はAK-47から発射された可能性もあると指摘した。

■軍からの圧力は否定

 27日付のタイ英字紙バンコク・ポスト(Bangkok Post)は「軍の参謀長が特別捜査局長を訪ね、当初の結論に苦言を呈したとの主張もある」と報じていたが、タリット局長は28日の会見で、軍や政府による調査への介入はなかったと述べ、村本さんの死について軍の責任を否定するよう圧力がかけられたとの見方を否定した。

 ロイター・ニュース(Reuters News)のスティーブン・アドラー(Stephen Adler)編集主幹は「当初の調査結果とこれらの報道には矛盾がみられ、捜査の過程と結果を完全に透明にすることが必要になった」との声明を発表した。

 前年4~5月に起きた軍とデモ隊の衝突では村本さんら外国人カメラマン2人を含む主に民間人の90人以上が死亡した。デモ隊と軍の双方が、相手側が実弾を使用したと主張している。日本大使館はタイ特別捜査局の新しい見解についてのコメントを拒否した。(c)AFP


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