【2月20日 AFP】フィリピンのライラ・デリマ(Leila de Lima)法相は20日、同国南部マギンダナオ(Maguindanao)州で18日、殺人事件の被害者とみられる2人分の遺骨を捜査員が発見したと発表した。

 遺骨が見つかったのは、グロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)前フィリピン大統領と密接な関係にあり、約10年にわたり同州を支配していたアンパトゥアン(Ampatuan)家の所有地。

 マギンダナオ州では2009年11月、地元政治家イスマイル・マグダダトゥ(Esmael Mangudadatu)氏の州知事選への立候補を代理で届け出るため選挙管理委員会に向かっていたマグダダトゥ氏の夫人や親族、同行していたジャーナリストらが襲撃され、57人が殺害される事件が起きている。

 この事件は、マグダダトゥ氏の立候補をはばむために起こされた同国史上最悪の政治的虐殺事件とされ、アンダル・アンパトゥアン・シニア(Andal Ampatuan Snr)被告らアンパトゥアン家の5人を含む190人以上が起訴された。

 人権団体は、アロヨ前大統領は同国南部のイスラム武装勢力に対抗させるため、アンパトゥアン家に大規模な私兵を持つことを許していただけでなく、過去に行われた複数の選挙でアロヨ氏系の候補者に票をまとめさせる見返りに、アンパトゥアン家の行きすぎた行為に目をつぶっていたとしている。

 デリマ法相は、今回見つかった遺骨の身元についての情報が寄せられており、確認がとれ次第、正式に発表すると述べた。また今回の調査は09年11月の襲撃事件の捜査とは別に行われたものだが、アンパトゥアン家の無法ぶりをあらためて示すものだと述べた。

 デリマ法相は先に、マギンダナオ州付近に集団墓地があるとの目撃者証言があることを明らかにしていた。これらの集団墓地には、アンパトゥアン家の私兵に殺害された少なくとも200人の遺体が埋葬されているとみられるという。

 人権団体は09年11月の事件が起きる前から、大量殺人の疑いがかけられていることについてアンパトゥアン家に説明を求めていたが、アンパトゥアン家はその求めに応じることはなかった。(c)AFP/Jason Gutierrez

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