【2月16日 AFP】米裁判所がマイクロブログのツイッター(Twitter)に内部告発サイトウィキリークス(WikiLeaks)を支援しているツイッター利用者3人の個人情報提供を命じたことについて、この3人と米人権団体が異議を申し立てたことを受け15日、米バージニア(Virginia)州アレクサンドリア(Alexandria)の連邦裁判所で審理が行われた。

 米裁判所はツイッターに対して前年12月、アイスランドの国会議員ビルギッタ・ヨンスドティル(Birgitta Jonsdottir)氏、米国のコンピューター研究者ジェイコブ・アペルバーム(Jacob Appelbaum)氏、オランダのウィキリークスボランティア、ロップ・ゴングライプ(Rop Gonggrijp)氏の情報提供を命令していた。この命令は秘密にされていたが、3人に異議申し立ての機会を与えるため2月9日にその内容が明らかにされた。

 インターネット上の権利擁護活動などを展開する米非営利団体、電子フロンティア財団(Electronic Frontier FoundationEFF)や、米国自由人権協会(American Civil Liberties UnionACLU)なども、命令の有効性に疑問があるとして異議申し立てを行っていた。

 15日はヨンスドティル氏ら3人に代わり弁護士が出廷し、同じく出廷した12月の命令を出したテレサ・ブキャナン(Theresa Buchanan)判事に、この命令に関連する他の秘密文書を公開するよう求めた。

 米政府はウィキリークス事件の捜査資料を収集するため、グーグル(Google)、フェースブック(Facebook)、スカイプ(Skype)などツイッター以外のIT企業からも情報提供を試みていることから、秘密文書にはこれらの企業についても記載されている可能性がある。一方、米政府側の弁護士はデータ提供の依頼はごく一般的な捜査手法だと主張した。裁判所が判断を下す時期は明らかにされていない。

■アサンジ容疑者は批判
 
 現在、ロンドン(London)で、性犯罪容疑でのスウェーデンへの移送の是非を判断する裁判所の審理の結果を待っているウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者は14日に声明を出し、「オバマ政権による、ツイッター利用者のプライバシーと言論の自由とに対する常軌を逸した攻撃だ」と批判。裁判所の命令は「チュニジアやエジプトなどの人びとが、ウィキリークスなどが提供する情報をもとに、非常に価値のあるものだと考えるようになった結社の自由に対する攻撃も意味し、さらに衝撃を受ける」と述べた。

 ウィキリークスが「米政府とジュリアン・アサンジとの法廷闘争の第1ラウンド」と表現している米アレクサンドリアでの審理に、アサンジ容疑者とウィキリークスは参加しない。理由は、米国の司法管轄権が「表現活動をめぐって国境を越えて」存在していないと考えているからだというもの。だが、アサンジ容疑者の弁護団代表のジェフリー・ロバートソン(Geoffrey Robertson)弁護士は、ハーバード大法科大学院(Harvard Law School)のアラン・ダーショウィッツ(Alan Dershowitz)教授を米政府との法廷闘争の弁護団に呼び込んだ。
 
 この審理とほぼ時を同じくして米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)でインターネットの自由について講演したヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は、「米国は世界の人々との対話への取り組みを続けていく」と述べ、シリアやイランでブロガーやツイッター利用者が取り締まりを受けていることに言及して、「表現のためのプラットフォームを使うと収監されるような状況では、そのようなプラットフォームにアクセスしたいという要求は満たされない」と語っていた。

 米司法省は、米政府の外交公電や米軍の秘密報告書を入手・公開したウィキリークスに対する犯罪捜査を続けている。(c)AFP/Karin Zeitvogel

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