【2月7日 AFP】11日のイラン革命記念日を前に反米ムードが高まるイランで6日、イラン当局がスパイ容疑で逮捕、起訴していた米国人旅行者3人の第1回公判が逮捕から1年半を経て開かれた。

 3人は、サラ・ショウルド(Sarah Shourd)さん、シェーン・バウアー(Shane Bauer)さんとジョシュア・ファタル(Joshua Fattal)さん。2009年7月31日にイラク北部クルド人自治区からイラン領内に不法に侵入したスパイ容疑で、イラン当局に逮捕された。3人は国境には何の目印もなかったため、知らずにイラン側に立ち入ってしまっただけだと主張している。

 イランにおける米国の権益を代表するスイスのリビア・ルー・アゴスティ(Livia Leu Agosti)駐イラン大使は6日、国営イラン通信(IRNA)に、裁判所に行ったが公判は非公開で行われ、法廷に入ることは認められなかったと語った。初公判終了後に同大使は、次の公判の日時は決まっていないが、近日中に行われるだろうと述べた。

 米国は繰り返し3人の解放を求めてきたが、女性のショウルドさんだけが約50万ドル(約4100万円)の保釈金を払って前年9月に解放された。アゴスティ大使によると、6日の公判にショウルドさんは出廷しなかった。バウアーさんとショウルドさんは、イランでの拘束中に婚約している。

 前日の5日には、3人を弁護するイラン人弁護士マスード・シャフィ(Masoud Shafii)氏があらためて3人に対する罪状を否定し、3人の無実と即時解放を求めていくと述べていた。

 シャフィ氏はAFPの取材に対し、「事件を詳細に調べたが、スパイ容疑は的外れで、問題とされるのは不法入国の疑いだけだ。だが、これも国境に表示がなかったことによる不注意にすぎない」と語った。シャフィ氏によると、イランの刑法では不法入国で有罪となった場合、最高で3年の禁固刑が科せられるが、罰金刑に減軽になる場合もあるという。

 イランでは3人のほかにも、姦通罪で有罪となり石打ちによる死刑を宣告された女性の息子にインタビューした2人のドイツ人ジャーナリストがスパイ容疑で逮捕されている。(c)AFP/Jay Deshmukh and Farhad Pouladi