【2月3日 AFP】スイス当局は1日、54歳の元介護福祉士の男が過去29年間で障害者など少なくとも114人に性的虐待を加えていたとする事件を公表した。同国史上最悪の性的虐待スキャンダルは国民を震撼(しんかん)させ、介護の現場では動揺が広がっている。

 ベルン(Berne)州の警察によると、スイス人のこの男は、担当したスイスとドイツの9つの介護施設で、主に身体または精神に障害のある子どもや若い男女に対し性的虐待を行っていた。被害者の最年少は1歳。同僚スタッフの子どもも被害に遭っていた。男の氏名は公表されていない。

 被害のあった介護施設の1つを運営する財団は、「大惨事だ。(男の振る舞いに)気づいた職員は1人としていなかった」とするコメントを発表した。

 警察は、男が撮影した写真とビデオ18点を押収。その中で被害者らは明らかに男を押しのけようとし、苦痛の表情を示していた。中には障害のため声を出せないケースもあった。

 男は前年逮捕された。きっかけは、障害を持つ2人の若者が両親に、施設の職員との性的接触について語ったことだった。男は「児童性愛者」を自認しており、逮捕時はほっとした様子を見せたという。

 起訴が可能なのはわずか33件で、残りは法律により時効が適用されるという。(c)AFP