【1月9日 AFP】(写真追加、一部更新)米アリゾナ(Arizona)州トゥーソン(Tucson)のスーパーマーケット前で8日、男が銃を乱射し、連邦判事と9歳の少女を含む6人が死亡、12人が負傷した。同州選出のガブリエル・ギフォーズ(Gabrielle Giffords)下院議員(40)が頭に銃弾を受け、重体になっている。

 現場ではギフォーズ議員が主催した「あなたの街角の議会」と銘打った集会が行われていた。目撃者によると男は至近距離からギフォーズ議員を撃ったという。犯行の動機は明らかになっていない。事件直後にはギフォーズ議員の死亡を示唆する報道もあったが、医師らは、弾丸は脳を貫通しておりギフォーズ議員は回復する可能性があると述べた。

 NPRラジオは、目撃者によると犯人の男は10代後半から20代前半で、犯人は逃走したが通りすがりの人に取り押さえられ、身柄を拘束されたと報じた。地元メディアとCNNは、犯人はジャレッド・リー・ロフナー(Jared Lee Loughner)容疑者(22)と報じている。

 報道によるとロフナー容疑者はインターネット上で政府に対する怒りを表明していたが、その政府批判の内容は支離滅裂な部分が多かったという。また米軍は、ロフナー容疑者はかつて軍に志願したが、認められなかったことを明らかにした。

 米動画共有サイトYouTubeにロフナー容疑者が載せたプロフィールには、好きな本としてカール・マルクス(Karl Marx)とフリードリヒ・エンゲルス(Friedrich Engels)の「共産党宣言」、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler')の「わが闘争」などが挙げられていた。

■共犯者がいる可能性も

 捜査当局者は報道陣に対し、「ロフナー容疑者が過去に色々な問題を抱えていたことから今回の事件が同容疑者単独の犯行だったとは考えにくく、もう一人の共犯者が事件現場にいたと信じるに足る理由がある」語った。

 7日には米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の郵便局と、メリーランド(Maryland)州の政府庁舎で郵便物が発火する事件が起きていたため、警備が強化されていた。

 ギフォーズ議員は2006年に下院議員に初当選した。夫は米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士、マーク・ケリー(Mark Kelly)氏。

 事件を受けてバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、今回の事件は「言葉で表せない悲劇」で「自由な社会において、そのような無分別で恐ろしい暴力行為が占めるべき場所はない」との声明を出した。(c)AFP/Shaun Tandon