【12月30日 AFP】中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で、自治体による強制立ち退きなどを報道していた現地紙記者が数人の男に襲われて激しく殴打され脳死状態となり、その後死亡していたことが分かった。28日、匿名を条件にAFPの電話取材に応じた同僚の記者が明らかにした。

 死亡した新聞記者は、新疆ウイグル自治区の現地紙、北疆晨報(Northern Xinjiang Morning Post)の孫虹傑(Sun Hongjie)さん。同僚によると孫さんが治療を受けていた病院から北疆晨報に、孫さんが28日に死亡したと連絡があった。

 中国国営新華社(Xinhua)通信によると、地元警察は孫さんが18日に奎屯(Kuitun)市の建築現場で襲撃されたと発表している。原因は孫さんがある男性を侮辱したためで、記者としての活動とは無関係の事件だとしている。6人の容疑者が逮捕され、取り調べを受けているという。

 しかし、フランス・パリに本拠地を置く国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without BordersRSF)」は前週、孫さんの同僚が「警察発表は事実と異なる。強盗に襲われたとか、酒場の外でけんかになったなどという普通の事件ではない」と訴えていることを明らかにした。RSFによると「この同僚は孫さんが、奎屯市の自治体が職員宿舎を建設するために地元住民に自宅からの立ち退きを強制しているという報道に取り組んでいた」と述べている。RSFでは前週、中国政府に事件の捜査を要請した。

 RSFが確認している範囲では、中国で記者が殺害される事件は2007年を最後に起きていなかった。(c)AFP