【12月16日 AFP】ロシアで15日、首都モスクワ(Moscow)やサンクトペテルブルク(Saint Petersburg)など数都市で、スタンガンやナイフなどを手に集結した民族主義者の若者ら1000人以上が、警戒にあたっていた機動隊員に身柄を拘束された。

 ロシアでは4日、モスクワのサッカーチーム、スパルタク・モスクワ(Spartak Moscow)のファンの男性が、北カフカス出身のイスラム系の若者グループに射殺される事件が発生。これをきっかけに、ロシア系の民族主義者とカフカス出身者など少数民族の若者との間で民族対立の緊張が高まっていた。

 11日にも、この事件の捜査を不服とする民族主義者やサッカーファンら5000人が、クレムリン(Kremlin、大統領府)近くで抗議集会を開き、これが暴動に発展している。

 15日にはイスラム系の若者グループと民族主義系のグループの双方が、モスクワ中心部のキエフスキ(Kievsky)駅に武装して集結するようインターネット上で呼びかけているとの報道があり、警察は赤の広場(Red Square)を一部封鎖するなどして厳戒態勢を敷いていた。

 現地のAFP記者も、黒服に身を包んで「ロシアはロシア人のものだ」と叫び、ナチス・ドイツ(Nazi)式の敬礼をしながらキエフスキ駅付近を行進する若者グループを目撃している。

 モスクワのほか、第2の都市サンクトペテルブルクや南部サマラ(Samara)などでも、武装して集まった若者グループらが身柄を拘束されている。

 モスクワでは近年、市場や建設現場で働くロシア南部や中央アジアからの出稼ぎ労働者が増加していることから、市当局に対し、移民の数を制限しロシア系住民に職を与えるよう求める声が高まっている。(c)AFP/Benoit Finck