母親による新生児殺し、実態は公式統計の5倍か フランス
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【12月10日 AFP】フランスで生後24時間以内に母親に殺された新生児の数が、公式統計より少なくとも5倍は上回ることを示す調査結果がこのほど発表された。
実の母親による新生児殺しは今年、仏北部の村で生まれたばかりの自分の子ども8人を殺したドミニク・コットレ(Dominique Cottrez)被告の事件が世界的な注目を浴びた。このほかにも同様の事件があったことから、母親による新生児殺しはどの程度起きているのかという問いが浮かんだ。
仏国立保健医学研究所(Inserm)のAnne Tursz氏とジョン・クック(Jon Cook)氏は、26の司法管轄区で1996~2000年の裁判記録を調査した。同時期フランスの都市部で誕生した子どもの3分の1が含まれる計算となる。
すると、生まれたその日のうち、つまり24時間以内に殺害される「えい児殺し」は5年間で27件、10万人中2.1人の割合で発生していた。これは、公式統計の10万人中0.39人より5.4倍高い。しかも、この新たな数字でさえ「実態を大幅に下回っていることは確か。年間100件程度はあるに違いなく、ほとんどの子どもの遺体は見つからない」と、Tursz氏はAFPの取材に語った。
■母親の心理状態や社会的特性は・・・
同じ調査では、新生児を殺害した母親27人の心理状態や社会的特性についても追究した。うち9人は事件後、行方不明になっていた。
調査によると母親らの平均年齢は26歳で、3分の1には既に子どもが3人以上おり、半数以上が殺した子どもの父親と暮らしていた。また約3分の2が就業しており、全体として他の女性たちと社会的レベルや職業の面で違いは見られなかった。
心理的には、27人の大半が自信に欠け、未成熟で気難しく、他者に依存する姿勢が著しく高いとの描写が記録されていた。ただし精神疾患と診断された者は1人もいなかった。Tursz氏は「こうした女性たちは、愛情に飢え、恐ろしいほどの孤独感にさいなまれている」と説明する。
27人全員が妊娠したことを家族や友人に隠し、また1人で、あるいは秘密で出産していた。一方で、自分が妊娠していることを認識しない「妊娠否認」といわれる精神症状に陥っていた者は皆無だった。
Tursz氏は「(新生児を殺した)母親たちのプロファイリングを知ることで、そうした状況に陥りやすい女性を発見することが容易になり、適切な解決法を提案し得る。今回の調査で、若くて貧しい1人暮らしの女性、さらに無職だったり妊娠否認がみられる女性に絞った予防措置では誤っていた点が明らかになった」と語った。(c)AFP/Marlowe Hood
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