【12月1日 AFP】国営イラン通信(IRNA)によると、恋敵を殺害したとしてサッカー元代表選手の「一時妻」の有罪が1日、イラン最高裁で確定し同日、絞首刑が執行された。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は前日、えん罪の可能性があるとして、処刑を中止するようイラン政府に要請していた。

 処刑されたシャーラ・ジェード(Shahla Jahed)被告は、サッカーのイラン元代表選手、ナセル・モハマド・ハニ(Nasser Mohammad Khani)氏といわゆる「一時婚」の関係にあったとされ、同選手の「本妻」を8年前に刺殺したとされていた。

 イランで多数派を占めるイスラム教シーア派の習慣では、男女は合意した一定の期間、結婚することができ、その期間が過ぎた後は更新もできるが、いったん婚姻関係は解消される。また男性は「本妻」は4人まで、「一時婚」の妻とは何人でも結婚できるが、女性は1度に1人の男性としか結婚できない。

 アムネスティによるとイランの裁判所は「手続き上の誤りがあった」として2008年に判決を覆し、捜査のやり直しを命じたが、ジェード被告は2009年2月に再び死刑を宣告された。

 相手のハニ氏は1980年代にサッカー・イラン代表でストライカーとして活躍し、引退後はテヘラン(Teheran)のクラブ、ピルズィ・テヘラン(Pirouzi Teheran)でコーチを務めた。

 各社報道に基づいたAFPのデータによると、ことしイランで処刑された人数は146人。2009年には少なくとも270人が処刑された。

 イラン政府は法と秩序を維持するために死刑は不可欠であり、また徹底的な審判を経た上でしか適用しないとしている。殺人、強姦、武装強盗、麻薬取引、姦通はすべて死刑となる。(c)AFP