【9月17日 AFP】英国で亡命生活を送っていたパキスタンの元国会議員が16日夕方、ロンドン(London)・エッジウェア(Edgware)の自宅前で何者かに刺され、殺害された。

 殺害されたのは、パキスタン・シンド(Sindh)州で連立与党を組む「ムータヒダ民族運動(Muttahida Qaumi Movement partyMQM)」の創設メンバーで、元国会議員のイムラン・ファルーク(Imran Farooq)氏(50)。

 ロンドン警視庁によると、午後5時半(日本時間17日午前2時半)ごろ人が襲われたとの通報があり、急行した警察官が瀕死(ひんし)の同氏を発見した。救急救命士が救命措置を施したが、午後6時37分に死亡が確認された。頭には殴られたような跡があり、体には複数の刺し傷があったという。

 容疑者はまだ捕まっていない。

■「生死を問わず」手配、背景に政党間対立か

 MQMはパキスタン最大の都市カラチ(Karachi)でウルドゥー語を話す人びとを中心に大きな支持基盤を持ち、カラチのあるシンド州でパキスタン人民党(Pakistan Peoples PartyPPP)を中心とする連立与党に参加している。

 英BBC放送によるとファルーク氏は、1992年にパキスタンから姿を消し、1999年に英国に亡命を申請、以来ロンドンで暮らしていた。同氏はパキスタン治安当局に指名手配されており、99年に本人が語ったところではその前の7年間はカラチに隠れ住んでいたという。

 また、英高級紙テレグラフ(Telegraph)によると、ファルーク氏には殺人や拷問など複数の容疑がかかっており、同氏は92年、自分は「生死を問わない」お尋ね者であり、「パキスタンでは誰でもわたしを暗殺できる。パキスタンには住めない」などと語っていたという。

 カラチでは前月、MQM幹部のラザ・ハイダル(Raza Haider)州議会議員が殺害される事件があり、これを受けて市内で政治的・民族的な理由による殺人事件が多発、約85人が死亡している。シンド州連立政権には、パシュトゥーン語を話す人びとを支持基盤とするアワミ民族党(Awami National PartyANP)も参加しているが、MQMとANPの間の対立が深まっている。(c)AFP