【9月3日 AFP】環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)の日本人メンバー2人が運送会社から鯨肉を盗んだとして窃盗などの罪で起訴された問題で、グリーンピースのクミ・ナイドゥ(Kumi Naidoo)事務局長は3日、都内で記者会見し、日本の警察の取り調べについて「アパルトヘイト(人種隔離)的だ」と批判した。

 グリーンピースの佐藤潤一(Junichi Sato)被告と鈴木徹(Toru Suzuki)被告は2008年、青森県内の運送会社の集配所から鯨肉が入った段ボール箱を盗んだとして窃盗などの罪で起訴された。青森地裁の判決は6日に言い渡される。

 南アフリカ出身でかつて反アパルトヘイト運動に参加していたナイドゥ氏は、青森県警が両被告を逮捕後26日間にわたって拘置し、弁護士との面会も許さずに椅子に縛り付けて取り調べを続けたと批判。「かつて反アパルトヘイト活動家が受けた仕打ちを思い出させる」と述べた。

■内部告発に「道徳的」に対応と主張

 佐藤、鈴木両被告の主張によると2人は、日本政府が行っている調査捕鯨で鯨肉の横流しが横行しているとの内部告発を受け、運輸会社の集配所から、捕鯨船の船員が自宅あてに送ったとみられる段ボール箱一箱を無断で持ち出した。その後、横流しの証拠として、箱に入っていた鯨肉を報道機関と当局に提示した。

「調査捕鯨の関係者が接触してきて不正が行われていると話したとき、道徳に基づいて2人にどんな選択があったか。何もしないという手もあった。しかし彼らは、内部告発者の道徳的勇気に適切に応えたのだ。調査を行い、発見し、東京地検に証拠を提出した」と、ナイドゥ氏は訴えた。

 記者会見に同席していた佐藤被告は、内部告発者は「横流しは20年以上続いている」と訴えていたが、日本国内の報道機関がこの主張を取り上げてくれなかったためグリーンピースに接触してきたと指摘し、判決が、報道機関やNGOの不正を追究する権利や市民の知る権利に言及してくれることを望んでいると述べた。(c)AFP