【8月26日 AFP】米ニューヨーク(New York)で24日夜、イスラム教徒のタクシー運転手(43)が乗客の男(21)にナイフで切りつけられる事件があった。男は切りつける前にイスラム教のラマダン(断食月)を守っているかと運転手に尋ねており、人種憎悪による犯罪(ヘイトクライム)による殺人未遂容疑で逮捕、訴追された。

 米タクシー運転手団体「Taxi Workers Alliance」の25日の発表によると、男は運転手が同日の仕事で初めて乗せた客で、タクシーはタイムズスクエア(Times Square)へ向かっていた。男は運転手の男性に信じている宗教について親しげに話しかけ、ラマダンの習慣を守り断食しているのかとたずねたという。それから、一瞬だまりこんだ後、突然ののしり声を上げてさけび始めた。

 男は「アッサラーム・アライクム(あなたの上に平安がありますように)。ここがチェックポイント(検問所)だと思え」と叫び、ナイフで運転手の首に切りつけた。運転手がナイフを払いのけると、男はさけび続けながら運転手の鼻から上唇にかけて切りつけ、腕や手にも切りつけたという。男は犯行当時、酒に酔っていたという。

Taxi Workers Alliance」は運転手襲撃について、2001年米同時多発テロで崩壊した世界貿易センター(World Trade Center)ビル跡地「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」近くで進むイスラム教のモスク建設計画をめぐる議論との関連を指摘している。同団体はイスラム教団体や移民団体とともに、モスク建設をめぐって「偏見や反イスラム的な表現」を止めるよう呼びかけていた。(c)AFP


【関連記事】グラウンド・ゼロ近くで進むモスク建設をめぐる議論
モスク建設、オバマ大統領「支持」で議論沸騰
9.11テロ跡地そばにモスク建設計画、賛否両論