【8月24日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏(39)に対して前週、スウェーデン警察が婦女暴行容疑で逮捕状を発行し、翌日撤回した件について、アサンジ氏本人が22日付のスウェーデン紙インタビューで、米国防総省による「わな」だったと疑っていることを明らかにした。

 スウェーデン紙アフトンブラデット(Aftonbladet)にアサンジ氏は、自分に対する婦女暴行容疑の「背後」に誰がいるかは分からないが、「われわれは警告されていた。例えば米国防総省がわがサイトをつぶすために、卑劣な手段をとってくるかもしれないといった警告だ。その上、セックスを使ったわなにはめられないようにという警告までわたしは受けていた」と語った。

 同氏は今回掛けられた容疑について「ショッキング」だったと述べ、「双方の完全な合意に基づかない性的関係は、スウェーデンでもほかの国でもいっさい行ったことはない」と反論した。また逮捕状は撤回されたにもかかわらず、同じ手段による攻撃は続くだろうと警戒心を示し、「経験上、ウィキリークスの敵は自分たちの主張が否定された後もまだ、同じことを吹聴し続ける」と語った。

 元ハッカーのアサンジ氏が率いるウィキリークスは、アフガニスタンでの軍事作戦に関する機密文書、約1万5000点を数週間以内にサイト上で公開すると予告している。すでに同サイトは同類の文書7万7000点近くを公開し、人物名が含まれていたことから、情報提供者や関係者の命を危険にさらすと批判もあがっている。

 この一連の機密文書公開をめぐり、ウィキリークスと米国防総省は、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官が同サイトが「犯罪的だ」と発言し、アサンジ氏が「脅しには屈しない」と応酬するなど激しい対立に陥っている。

 米国防総省のジェフ・モレル(Geoff Morrell)報道官は、同省の不正な攻撃だというアサンジ氏の考えは「ばかげている」と一蹴した。

■別の容疑で捜査継続中

 またスウェーデンの検察局は21日、アサンジ氏は「婦女暴行の容疑者」ではなくなったが、別の痴漢行為の疑いで捜査を続けていることを明らかにした。また翌22日には検事総長が、今回撤回した逮捕状の手続き自体には問題はなかったと正当化した。

 アサンジ氏は8月上旬にストックホルム(Stockholm)で、アフガニスタン文書の近日公開を知らせる記者会見を開いたが、現在は支援者のところに滞在するなどして世界中を移動しながら暮らしている。(c)AFP/Igor Gedilaghine

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