【6月22日 AFP】米最高裁は21日、米バイオ企業大手モンサント(Monsanto)が開発した遺伝子組み換え耐除草剤アルファルファ種子「ラウンドアップ・レディー・アルファルファ(Roundup Resistant AlfalfaRRA)」の使用禁止をめぐる裁判で、審理を下級裁判所に差し戻すよう命じた。

 アルファルファは米国で4番目に栽培量が多い作物で、家畜の飼料などに使われる。米農務省はこの種子の使用を認めていたがカリフォルニア(California)州連邦地裁は2007年、適切な環境影響調査が実施されていないとしてRRAに対する農務省の認可は無効だとする判断を下した。2009年には控訴審もこの判断を支持した。

 しかし今回、最高裁判事9人のうち7人が、禁止命令は行き過ぎであり、農務省による一部規制解除を実施できなくしていると判断した。

 下級審の判決を支持した最高裁判事は1人だけで、残るスティーブン・ブライアー(Stephen Breyer)判事は、兄弟のチャールズ・ブライアー(Charles Breyer)判事がカリフォルニア州連邦地裁の判決を言い渡していたため、本件には関与しなかった。

■農務省に環境影響調査を命じる

 最高裁は、「米農務省動植物検疫局(Animal and Plant Health Inspection ServiceAPHIS)が部分的な規制解除の影響を検討するまで、司法による判断は時期尚早だ」とした。さらに「地裁判決は、地域を限定してRRAの栽培を認めることも不可能にしている」とも指摘し、APHISに対して環境影響調査を実施するよう命じた。

 最高裁は、新たな環境影響調査が完了するまでは新たな申し立ては行えないとしており、今後、米政府がモンサントに遺伝子を組み換えたアルファルファ種子の限定的な販売や栽培を許可する可能性もある。

 この裁判の原告は、生物多様性センター(Center for Biological Diversity)などの環境保護団体の支援を受けた有機農業従事者たち。原告は、遺伝子組み換え種子が自分たちの栽培する作物を汚染するのではないかと懸念している。一方のモンサントは、連邦裁判所はアルファルファ種子の販売を禁止する権限はないと一貫して主張し、上告していた。(c)AFP