【6月9日 AFP】米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySS)」は、日本の調査捕鯨船に侵入し、現在東京地裁で公判中のニュージーランド人、ピーター・ベスーン(Peter Bethune)被告を除名処分にしたと発表した。

 SSは4日、チャック・スイフト(Chuck Swift)副代表名義でウェブサイト上に声明を発表し、ベスーン被告はもはやメンバーではないと宣言した。

 声明は、日本の調査捕鯨船に対する今年の抗議活動の開始時点から、ベスーン被告は自らが船長だったSSの超高速捕鯨抗議船「アディ・ギル(Ady Gil)号」に弓と矢を持ち込んだが、これはSSの「攻撃的だが非暴力の直接行動」という活動方針に反するとしている。

 この弓矢が調査捕鯨船に対して使用されたことはなく、ベスーン被告も人間に対して使用する意図はなかったものの、SSの抗議活動に弓矢を持ち込んだこと自体が、同団体として容認できないとし、「SSは日本での裁判への支援は続けるが、SSの今後の活動には参加させない」とスイフト副代表は述べている。

 ニュージーランドのテレビ局TV3は8日、今年の調査捕鯨シーズンの開始前のベスーン被告のインタビューを放映した。その中で被告は、弓矢をアディ・ギル号に持ち込んであり、矢の先に「汚らわしい化学物質」を塗るつもりだなどと述べているが、目的は殺されたクジラに打ち込んで、日本の水産加工船にクジラの死骸(しがい)が積み込まれるのを防ぐためだと語っていた。

 一方、アディ・ギル号のジェーソン・スチュワート(Jason Stewart)乗組員はTV3に対し、弓矢の持ち込みは隠し事ではなく、SSのポール・ワトソン(Paul Watson)代表も同号への持ち込みを許可していたという。(c)AFP