【5月29日 AFP】カンボジアで少女のころに行方不明になり、18年後の2007年にジャングルで暮らしているところを発見されたロチョム・プニン(Rochom P'ngieng)さんが、森へ逃げ帰ってしまった。プニンさんの父親のSal Louさんと地元警察が28日、明らかにした。

 プニンさんは現在29歳。1989年にプノンペン(Phnom Penh)北東610キロのラタナキリ(Ratanakkiri)州の密林で水牛の番をしているときに行方不明になり、2007年に全身汚れた全裸姿で農家の食物を盗むために姿を現したところを発見された。密林で乾燥した米粒を探し回っていたために、サルのように前かがみな姿勢になっていたという。

 プニンさんの父親のSal Louさんは、AFPの電話取材に「25日の夜に風呂に入る際に森へ逃げ帰ったに違いない。わたしと息子は今、森に入ってプニンを探しているところだ」と述べ、「森の精霊」がプニンさんを密林へ誘い込んだに違いないと語った。一方、地元警察署長のMa Vichet氏も、捜索を行っているが依然として行方はわかっていないと述べ、「きっと森へ逃げたのだろう」との考えを示した。

 プニンさんは、カンボジアで「ジャングルウーマン」や「半動物少女」などと呼ばれている。父親によれば、2007年に保護されたプニンさんは「動物のうなり声」を上げるだけで、明りょうな言葉をしゃべることができず、度々病気に見舞われ、09年10月にも食事を拒否して入院生活を送っていた。しかし、前年12月ごろから言葉を話し始め、家事の手伝いをするようになっていた。

 ラタナキリ州の密林は、カンボジアで最も人里離れた野生の森の1つとされている。(c)AFP

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