【5月27日 AFP】6月11日に開幕する2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)でデンマークとオランダのチームが、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の標的になっていたと報じられた問題について、襲撃を計画していたとされるイラクのアルカイダ系グループが25日、報道は「幻想だ」と発表して計画の存在を否定した。

 報道のきっかけは約1週前にイラクの治安当局の広報官が、拘束したサウジアラビア人の男がW杯攻撃計画を告白したと発表したことだった。しかし、イラク国内のアルカイダ系組織の中心的存在である「イラクのイスラム国家(Islamic State of IraqISI)」は25日、イスラム急進派系のウェブサイト「ダウラ(Al-Dawla)」に「この疑いを断じて否定する」との声明を発表した。またイラク当局に拘束された男についても、自分たちのメンバーではないと否定した。

 ISIは、4月に殺害されたイラクのアルカイダ指導者2人の死にイラク政府が便乗し、架空の勝利を演出したがっていると非難し、「まさかそうした幻想を南アフリカのW杯やヨハネスブルク(Johannesburg)にまで広げるとは想像だにしなかった」と反論した。

 イラク当局に拘束された男は、預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を掲載するなどしてイスラム教を侮辱した国への復讐(ふくしゅう)のため、デンマークとオランダの代表チームを攻撃する計画に参加していたと報道されていた。これを受けオランダ、デンマークの各当局は、南アへの渡航危険レベルを引き上げるなど警戒を強めていた。

 国際サッカー連盟(FIFA)は前週、W杯に対するいかなるテロの脅威も確認されていないとの見解を示している。(c)AFP