【4月12日 AFP】韓国の検察当局は、中国国内で北朝鮮から脱出した住民を捕らえて北朝鮮に送還していたとして、韓国人の男を逮捕した。韓国の情報機関、国家情報院(National Intelligence Service)の関係者が12日、明らかにした。

 匿名を条件にAFPの取材に応じたこの国家情報院関係者は、逮捕された男は北朝鮮のために脱北者を支援する人びとに関する情報や軍事情報の収集もしていたと語ったが、詳細については言及を避けた。

 韓国・聯合(Yonhap)ニュースは、検察当局者の話として、容疑者は55歳の男で、1990年代後半に中国に不法滞在していた時に、ある北朝鮮の工作員からリクルートされたと報じている。この男は2000年に平壌(Pyongyang)で訓練を受け、脱北者の捜索担当者として中国に送り込まれたという。

 聯合ニュースによると、男は共犯者が中国警察に逮捕されたことを受け、韓国に帰国。到着したところを検察当局に拘束された。検察当局と国家情報院は、男にさらに共犯者がいないかを捜査しているという。

 食糧不足や体制による抑圧から逃れる脱北者のほとんどは中国に入るが、中国政府は脱北者を経済難民として強制送還する協定を北朝鮮と結んでいるため、東南アジア経由で韓国を目指す脱北者もいる。

 脱北者団体や人権団体などは、強制送還された脱北者は死刑も含む厳しい刑罰を受けるとして、こうした中国政府の方針を強く批判している。(c)AFP