【4月10日 AFP】英リバプール(Liverpool)のジョン・レノン空港(John Lennon Airport)で前週、格安航空イージージェット航空(Easyjet Airlines)の旅客機に遺体を搭乗させようとした女性2人が拘束された。

 女性2人は、遺体のカート・ウィリー・ヤラント(Kurt Willi Jarant)さん(91)の妻、ジッタ(Gitta Jarant)さん(66)と娘のアンク・アヌシク(Anke Anusic)さん(41)。今月3日、アルツハイマー病を患っていたウィリーさんとタクシーで空港に向かったが、ウィリーさんがタクシーから車いすに乗りかえるのを手伝った空港職員が不審に思って脈をはかったところ、すでに死亡していたことが判明したという。ウィリーさんはサングラスをかけていたとの報道もある。

 妻のジッタさんは、「ウィリーは空港で死んだの。突然ぐったりとろう人形のようになり、指の爪も突然青ざめた。自宅に居たときはまだ温かかった。本当よ」と述べている。

 しかし、英警察は女性2人が遺体の移送費を節約しようとして、生きているよう偽装した可能性もあるとみている。検視結果は公開されていないが、報道によれば、ジッタさんとアンクさんの弁護士は第三者による再度の検視を要求しているという。2人は現在保釈されている。

 独日刊紙ビルト(Bild)によると、夫妻は9年前に結婚、ドイツ・ベルリン(Berlin)に暮らしていた。娘の暮らす英国には、毎年数か月間滞在していたという。

 ウィリーさんは元パイロット。ジッタさんは、ビルト紙に「きっと、空港にいるパイロットの霊魂がウィリーを『おいでおいで』と誘ったのよ」と述べ、空港でのウィリーさんの死に納得していると語った。

 ジッタさんは、今後は、ウィリーさんの遺体を火葬して灰をベルリンに持ち帰るつもりだという。「ずっとウィリーと一緒にいられるよう」ベルリンに暮らし続けたいと語った。(c)AFP