【3月30日 AFP】中国国営新華社(Xinhua)通信は30日、栄養不良や病気で死んだ多数の動物を埋めた穴が中国の動物園で発見されたと伝えた。中国の動物園における劣悪な飼育環境にあらためて批判が集まりそうだ。

 大規模な動物墓地が見つかったのは、中国北東部ハルビン(Harbin)の動物園。数週間前には同じ北東部の瀋陽(Shenyang)の動物園で30頭以上の動物が死んでいたことが伝えられたばかりだった。瀋陽の動物園では、動物の体の一部を取り出していたとの疑惑も出ている。

 新華社通信によると、ハルビン北方森林動物園(Harbin Northern Forest Zoo)で、従業員らが前年、3メートルの深さの穴を掘り、ライオンやトラ、ヒョウなどの死がいを埋めたという。

 埋めた時期や頭数はわかっていないが、報道によれば、穴には約30~40頭の死がいがあるとみられている。従業員の内部告発資料によれば、2008年の前半には、絶滅が危ぐされているホワイトタイガーやホワイトライオンなど、14頭が栄養失調で死亡していた。

■ライオンやトラにトウモロコシ与える?

 同動物園の飼料担当部署の副責任者Zhang Xinru氏は新華社通信に対し、同施設は2007年、経費削減のため飼料を変更したと説明した。新華社によれば、ライオンとトラはウシとヒツジの肉を与えられていたが、その一部をニワトリの肉と骨で代替した。肉の代わりにトウモロコシのパンを与えていた飼育員もいたという。

 やがて動物たちが死んでいることに動物園関係者が気づき、飼料を与えるパターンを変更したが、それでもなお栄養失調が続いたという。

 一方、匿名を条件に取材に応じた動物園広報担当者は報道を否定し、動物たちは通常の老衰や病気などで死亡していたと主張した。

 中国動物園協会(Chinese Association of Zoological GardensCAZG)によれば中国国内には200以上の動物園がある。しかし補助金など政府の支援を得られているのは、北京(Beijing)や上海(Shanghai)など主要都市にある大規模な動物園だけだと新華社は伝えている。(c)AFP