【3月24日 AFP】南アフリカの研究機関が24日、6月に開幕するサッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)期間中に同国で人身売買が増加する恐れがあるとの調査結果を発表し、対策強化を訴えた。

 この調査は人文科学調査評議会(Human Sciences Research Council)が南アフリカ国家検察局(National Prosecuting AuthorityNPA)の委託を受けて行ったもので、報告書は人身売買に対する「全面的な介入」を求めている。

 同評議会のバージニア・ティリー(Virginia Tilley)氏は「W杯の期間中、試合の開催都市では人身売買問題の悪化が強く予測される。(W杯は)人身売買業者を引きつける磁石のようなもので、彼らはかなりの稼ぎを見込んでいると思う。開催中、セックスとドラッグの需要は大きな規模に膨らみかねない」と懸念を示した。

■アルビノも狙われる

 南アフリカ国内の人身売買は地方の人を都市に売るのが中心だが、今回の調査でほかのアフリカ諸国など各国の人びとが南アへ売られたり、また南アが国際間取引の中継地点になっていることも明らかになった。

 女性、とくに未成年者の少女が人身売買の最大の犠牲者になっている。若いほうがHIVの感染リスクが低いといった認識や、「性的に若い女性を好む傾向」などによってこの傾向に拍車がかかっているという。

 W杯の開催地の中でも主要都市のケープタウン(Cape Town)、ダーバン(Durban)、ヨハネスブルク(Johannesburg)、ポートエリザベス(Port Elizabeth)の4都市で、10~14歳の子どもを含む未成年を狙った売春ツアーが活発に行われるとみられている。

 身体の部位の売買も行われており、白い肌は特別な力をもつという迷信のせいでアルビノ(先天性白皮症)の人びとが狙われやすく、犯罪シンジケートから一族の集団まで幅広いグループがこの種の人身売買に関与しているという。また薬物取引と人身売買の関係も指摘され、ドラッグの売人にするための少年の売買も指摘された。

 南アフリカの新法では、人身売買で有罪となった場合は最高で終身刑と100万ランド(約1200万円)が科される。(c)AFP