【2月22日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)でパレスチナのイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)幹部が暗殺された事件で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が事件前に対外特務機関モサド(Mossad)幹部と面会していたと、英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)が21日、モサドに詳しい筋の情報として報じた。同紙は、ネタニヤフ首相が暗殺を事前承認していたと伝えている。

 同紙によると、モサド本部でメイル・ダガン(Meir Dagan)長官からマブフーフ司令官暗殺計画の説明をうけたネタニヤフ首相は、計画実行の障害はないとして暗殺を承認し、「イスラエル人民は君たちを信頼している。幸運を祈る」と激励したと報じた。 

 事件はパレスチナ自治区ガザ(Gaza)地区を実効支配するハマス創設者の1人、マフムード・マブフーフ(Mahmud al-Mabhuh)司令官が前月20日、ドバイ(Dubai)のホテルで遺体で発見されたもの。サンデー・タイムズ紙によると、遺体にはスタンガンによるやけどがあったほか、鼻血のあとがみとめられており、死因は絞殺とみられている。

 マブフーフ司令官暗殺をうけ、国際刑事警察機構(インターポール、Interpol)は容疑者11人を国際手配しているが、イスラエル政府はこの事件をめぐりダガン長官が逮捕されるべきとの声に対しては無視する姿勢を示している。

 これまでのところ、直接イスラエルを非難する国は出ていないが、暗殺の舞台となったドバイの警察当局は、事件の背後にダガン長官の存在がある可能性は「非常に高い」と述べ、暗殺関与が事実ならば同長官は責任を負わねばならないとの見解を示した。

 モサドの工作員が偽造パスポートを使って特殊任務を実行した例は過去にも起きており、専門家らは今回の暗殺事件の実行犯らが逮捕される見込みは非常に低いとみている。(c)AFP