【2月14日 AFP】11歳で誘拐され18年間監禁されていた米カリフォルニア(California)州のジェイシー・リー・ドゥガード(Jaycee Lee Dugard)さん(29)が監禁中に記していた日記の一部から、ドゥガードさんが1人きりで孤独に苦悩していた日々が明らかになった。

 ドゥガードさんは18年間にわたり、フィリップ・ガリドー(Phillip Garrido)被告の裏庭の小屋に監禁されていたが、前年8月に発見されて世界中のメディアで話題となった。ドゥガードさんとガリドー被告との間には、2人の子どもが生まれた。

 ドゥガードさんの日記の抜粋は、検察側の資料として裁判所に提出された。ガリドー被告の弁護人がドゥガードさんと直接連絡をとろうとドゥガードさんの居所を探したことに反対するために提出されたもので、エルドラド(El Dorado)郡検察のバーン・ピアソン(Vern Pierson)検事は、ドゥガードさんがガリドー被告と連絡をとりたがっていないことはドゥガードさんの日記から明らかだと主張した。

 日記には、ガリドー被告に対する恐怖や、被告から自由になることへの絶望、また、ガリドー被告と被告の妻が200ドル(約1万8000円)の子ネコを買い与えてドゥガードさんを巧みに操ろうとした様子がつづられていた。

 米国の各社報道によると、ドゥガードさんは2004年の日記の中で「なんで自分の人生を自分で決められないの!自分の考えでさえ、それが自分のものかどうか確信が持てない」と記したという。

■自由への切望

 1993年の日記には、当時13歳だったドゥガードさんが、ガリドー被告夫婦がプレゼントしたペットに感謝している様子が描かれていた。「彼らは、ほかの誰もしてくれないことをしてくれた。200ドルも払って、わたしに子ネコを買ってくれた」

 それから10年後の2003年9月の日記には、ドゥガードさんの自由になることへの切望と、ガリドー被告への複雑な感情が明かされていた。

「彼を傷つけたくない。ときどき、わたしの存在が彼を傷つけているようにみえる」とドゥガードさんは告白した。「だとすれば、自由になりたいという気持ちを、どうやって彼に伝えればよいのだろう。わたしが願うだけで、自由がやってくればいいのに」

「家族がいることを伝えるのは自由。でも、これをできる限り抑え込めば、彼に苦しみを与えないで済む。自由」。

 しかし2004年後半ごろには、ドゥガードさんは気力を維持するのが困難になっていた。

「沈んでいくような感覚」とドゥガードさんは記す。

「やっぱり自分の人生を自分で決めたい。自分のしたいようにするわたしの人生のはず。でも、また、彼が奪っていった」

 検察側によると、ガリドー被告は拘束時に綿密な計画を立て、ドゥガードさんも弁護士を雇うことで「双方の弁護士を通じて、法的な知識がなくとも、互いに連絡がとれるようにしよう」と考えていたという。

 ピアソン検事は、ガリドー被告を「マスター・マニピュレーター(人心操縦の達人)」と呼び、ドゥガードさんがガリドー被告と連絡をとりたくない意志を示していると語った。(c)AFP