【1月2日 AFP】米国の裁判所が、2007年にイラクで民間人を殺傷した米民間軍事会社ブラックウオーター(Blackwater)の警備員5人に対する訴追を退ける決定を下したことに対し、イラクで強い反発が広がっている。
 
 5人は2007年9月16日、バグダッド(Baghdad)で武装車両で車列を組んで米大使館員の護衛をしていた際、市内の交差点で銃と手りゅう弾を使って非武装のイラクの民間人14人を殺害、18人を負傷させたとして起訴されていた。イラク側は17人が犠牲になったとしている。

 ワシントンD.C.(Washington D.C.)の連邦地裁のリカルド・ウルビナ(Ricardo Urbina)判事は12月31日、米国務省の調査で免責保証が与えられたなかで5人から得た証言をもとに検察が起訴したことは、5人の権利侵害にあたるとの判断を下した。

 イラクのウィジダン・ミハエル(Wejdan Mikhail)人権相はAFPに対し、この決定に「衝撃を受けた」と語った。イラク政府のアリ・アルダッバー(Ali al-Dabbagh )報道官も、イラク政府は正義を実現するために必要な手段を講じていると発表し、米司法省に控訴するよう求めたことを明らかにした。

 この事件はブラックウオーターの社員が関与したなかで最も衝撃的な事件の1つで、イラクで活動していた同社の無法ぶりに注目が集まった。ブラックウオーターはイラクでの稼働を禁じられ、前年1月に社名をXeに変更している。(c)AFP/Mehdi Lebouachera