【12月18日 AFP】第2次世界大戦中にナチス・ドイツ(Nazi)がポーランドに設置したアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)元強制収容所で18日未明、同収容所の入り口に掲げられている悪名高いスローガン、「働けば自由になる(Arbeit macht Frei)」の看板が盗まれた。現地警察が発表した。

 この看板は、ユダヤ人を中心とする約110万人がガス室などで虐殺された同強制収容所の恐怖の象徴となった。

 盗難についてイスラエルのシルバン・シャロム(Silvan Shalom)副首相は「言語同断な行為」と批判し、またイスラエル・ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)記念館「ヤド・バシェム(Yad Vashem)」のAvner Shalev館長は「これは宣戦布告だ」と強く非難した。

 この看板は、1939年にポーランドを侵略し、同収容所を設置したナチスの命で被収容者たち自身が鍛造した。アウシュビッツ・ビルケナウ博物館の広報担当、Jaroslaw Mensfelt氏はAFPの取材に対し、「100万以上の人びとが殺害された場所に対する冒とくだ」と怒りをあらわにした。

 また同氏は、頭上に吊り下げられている長さ5メートルの金属製の看板を夜明け前に降ろし、盗み出した犯行はプロの仕事で「やり方を知っていなければできない」と述べた。

 現地警察では警察犬チームを投入し、犯人を追跡しているほか、現場と周辺の監視ビデオカメラの映像を入念に調査している。

 レフ・ワレサ(Lech Walesa)元ポーランド大統領は、同国のニュース局TVN24に対し、看板の盗難は「想像を絶する。自分たちがしたことの意味を分かっていない者たちの悪ふざけであることを願う」と語った。(c)AFP