【12月4日 AFP】(一部更新)フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島のマギンダナオ(Maguindanao)州で、来年の知事選に絡み地元政治家の親族やジャーナリストら57人が殺害された事件で、フィリピン軍は4日、同州の有力者アンパトゥアン(Ampatuan)一族の所有する複数の住宅を一斉強制捜索した。

 防弾チョッキとライフルで重武装した兵士100人以上と警官数十人は、最初に、25件の殺人罪ですでに起訴された同州ダトゥウンサイ(Datu Unsay)のアンダル・アンパトゥアン・ジュニア(Andal Ampatuan Jnr)町長の自宅を強制捜索。

 続いて、2001年から同州の州知事を務めるアンパトゥアン一族の長、アンダル・アンパトゥアン・シニア(Andal Ampatuan Snr)知事の自宅など、他の一族関係者宅にも相次いで踏み込んだ。

 一斉捜索は、57人の殺害に使用されたとみられる銃やライフルなどが、アンパトゥアン一族所有の敷地からわずか数百メートルしか離れていない場所に埋められているのが見つかったことから行われた。

 アンパトゥアン・シニア知事の身柄は拘束されなかったが、同知事は事件発覚までグロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)フィリピン大統領率いる与党連立政権の後ろ盾を得、一族を州政府の役職につけ、私兵を率いて紛争の絶えないマギンダナオ州を支配してきたことから、今回の強制捜索は同州の有力者一族の凋落(ちょうらく)を象徴する劇的な展開を迎えた。

 警察は今週、アンパトゥアン・シニア知事とその他一族の4人を大量殺人に関与した疑いで検察当局に告発しており、これを受けて司法省が、同知事らを裁判所に起訴するかどうかを決定することになっている。(c)AFP