【12月1日 AFP】第2次世界大戦中のナチス(Nazi)強制収容所の元看守とされるジョン・デムヤンユク(John Demjanjuk)被告(89)の公判が30日、ドイツ・ミュンヘン(Munich)の地方裁判所で始まり、同被告は医療従事者と警備員に付き添われて車いす姿で出廷した。ナチス関係者の主要な裁判としては、この裁判が最後になるものと見られる。

 ウクライナ生まれの同被告は大戦中、現在のポーランドにあるソビブル(Sobibor)の強制収容所でユダヤ人など2万7900人を殺害した罪に問われている。同収容所は、ナチスの独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)がユダヤ人大量殺りくのために設立したものの1つ。

 同被告はうなり声をあげたものの目は閉じたままだった。家族によると被告は重病で、収容されていた拘置施設から救急車で運ばれてきた。

 被告はソビブルの強制収容所にいたことを否定しているが、検察側は、被告の名前が記されたナチス親衛隊(SS)の身分証明書と異動命令書の存在を明らかにし、被告が1943年3月から9月までソビブルの収容所で看守を務めていたとしている。

 有罪となれば、同被告が余生を刑務所内で過ごすことはほぼ確実。有罪とならなくても、米国籍をはく奪され無国籍のため、将来は不透明だ。(c)AFP/Richard Carter