【11月27日 AFP】(一部更新)フィリピン南部ミンダナオ(Mindanao)島のマギンダナオ(Maguindanao)州で、来年実施される知事選に絡み政治家一家とジャーナリストら57人が射殺された事件で、アグネス・デバナデラ(Agnes Devanadera)司法長官は27日、地元アンパトゥアン(Ampatuan)のアンダル・アンパトゥアン・ジュニア(Andal Ampatuan Jr)町長が殺害を指示したとの証言が多数あることを明らかにした。

 複数の証言によると、実行グループは100人以上で、アンパトゥアン町長の私兵のほか、警官も加わっていた。同町長も現場にいたとの多数の証言があり、そのうちの1人によると、町長自身も銃を撃っていたという。デバナデラ司法長官によると、証言者らは殺害を実行したか、命令を受けた人物らで、良心の呵責(かしゃく)に耐えられず証言を行ったという。

 デバナデラ司法長官はまた、犠牲になった女性の複数の遺体が性器を銃撃されており、この女性たちがレイプされた可能性があるとも語った。

 殺害されたのは、来年行われるマギンダナオ州知事選をめぐってアンパトゥアン町長とライバル関係にあった地元政治家エスマエル・マグダダトゥ(Esmael Mangudadatu)氏の夫人や側近、記者らの一行で、同氏の知事選への立候補届けを出しに向かう途中に拉致され、射殺された。遺族らは、選挙の対立候補を排除するためアンパトゥアン町長が殺害を命じたと主張している。

 同町長は26日、当局に出頭し、身柄を拘束されている。

■容疑の町長はイスラム武装組織の犯行を主張

 一方、26日夜にマニラ(Manila)に移送されたアンパトゥアン町長は、フィリピン国家警察の拘置施設で地元テレビの取材に応じ、無実を改めて訴えるとともに、事件は同国のイスラム武装組織の犯行だと主張した。

 27日放映されたインタビューで同町長は、出頭したのは自分が無実だからだと繰り返し、同国南部に拠点を置くイスラム教反政府勢力モロ・イスラム解放戦線(Moro Islamic Liberation FrontMILF)が事件の背後にいると非難した。(c)AFP