【11月26日 AFP】カンボジアの旧ポル・ポト(Pol Pot)政権時代(1975-79年)に起きた大量虐殺を裁くカンボジア特別法廷(Extraordinary Chambers in the Courts of CambodiaECCC)で25日、検察側はトゥールスレン(Tuol Sleng)収容所の所長で人道に対する罪などに問われている元数学教師カン・ケ・イウ(Kaing Guek Eav、通称ドッチ=Duch)被告(67)に、禁固40年を求刑した。

 この特別法廷におけるポト派幹部への求刑は初めて。判決は来年前半に言い渡される見通し。

 検察側は、同被告が起訴されている人道に対する罪やジュネーブ諸条約違反、拷問、計画殺人などの罪に対する刑期は最大で終身刑だが、未決拘置期間の長さや被告が一部の罪を認め検察側に協力していることを考慮し、求刑を40年にしたと説明した。

 カン・ケ・イウ被告は、収容者の殺害について「耐え難いほどの後悔の念」を感じていると述べた。

■さまざまな虐待の後、撲殺された人々

 ポル・ポト政権下のカンボジアでは、飢餓や過酷な労働、処刑などによって約200万人が死亡した。刑務所「S21」ことトゥールスレン収容所では、約1万5000人が殺害されたとされる。近くにはいわゆる「キリング・フィールド(Killing Field)」として知られる刑場のひとつとなった村があり、多くの収容者が連行され、撲殺などの方法で処刑された。

 公判やカン・ケ・イウ被告による詳細な記録によると、収容者らは足や手の爪を引き抜かれたり、水責めや血抜きなどの虐待を受け、ポル・ポト政権への裏切りや外国の情報機関への協力といった虚偽の告白を強要されたという。(c)AFP/Patrick Falby