【11月17日 AFP】西アフリカのガンビアでは、政府が支援していると見られる「魔女狩り」が今年の初めから数か月間続き、全土を震え上がらせた。魔女狩りが終わって7か月が経過するが、深刻な健康被害に苦しんでいる人がいまだに大勢いると、病院関係者が13日語った。

 魔女狩りが明るみになったのは、今年5月。ガンビアで自称「呪術師」らが1000人以上の村人たちを誘拐・拘束した事実が明らかになった。これら「呪術師」らには、政府の命令により、武装した男たちが護衛についていたという。

 誘拐された村人たちは、幻覚剤のようなものを飲まされたという。そうした薬を飲まされて意識がもうろうとなったところを「呪術師」にレイプされたとする報告もいくつか寄せられている。幻覚剤の影響で腎臓や胃に障害が起きた被害者も多い。

 こうした「魔女狩りキャンペーン」は既に終わっているが、今も精神的・肉体的な後遺症に苦しんでいる人は多い。これまでに幻覚剤による腎臓障害で死亡した人は、少なくとも8人にのぼっているという。

 ガンビアのメディアは、魔女狩りを行っているのはギニア人たちで、今年始めにヤヤ・ジャメ(Yahya Jammeh)大統領のおばが死亡した直後に呼び寄せられたと報じている。ジャメ大統領は、おばの死を魔女のしわざだと話していたという。

 アフリカ大陸で最も面積が小さいガンビアは、1994年の無血クーデターで政権をとったジャメ大統領が、現在も政権の座にある。

 ジャメ政権は近年、政敵や自身に批判的な人物への拷問や違法逮捕といった人権侵害を日常的に行っているとして、人権団体などから激しい槍玉に上がっている。(c)AFP