【11月2日 AFP】タイ当局は1日、入院中のプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)国王(81)の健康不安をめぐり、誤った情報をインターネット上に流布してタイの株価を急落させるなど国家の治安に損害を与えたとして、現地のUBS証券(UBS Securities)元幹部の女ら2人を逮捕したと発表した。

 警察によると、逮捕されたのはKT ZMICO証券(KT ZMICO Securities)に勤務するKatha Pajariyapong容疑者(43)と、UBS証券の元幹部Theeranan Vipuchanin容疑者で、コンピュータ関連犯罪法違反に問われている。2人は保釈金を払って保釈されたが、有罪なら5年以下の禁固刑か10万バーツ(約27万円)の罰金刑に相当する。

 タイ証券市場では10月15日、プミポン国王の健康不安説が流れたことによって株価が一時前日比8.22%も急落した。事態を受け、タイ政府は調査を開始していた。

■「投稿は株価急落後」と正当性を主張

 AFPの取材に対し、タイ捜査当局幹部によると、2人はインターネット上に情報を流したことを認めており、情報の一部は米金融・経済ニュースメディアのブルームバーグ(Bloomberg)によって配信された。ブルームバーグは捜査対象にはなっていないという。

 Theeranan容疑者は1日夜、記者団に対し、「株価が急落した原因を伝える必要があると思い、ニュース記事を翻訳しただけだ。投稿したのはすでに株価が急落した後だ」と自らの正当性を主張。金銭目的で何者かに指示されて行った可能性を否定した。

 世界最長の在位期間を誇るプミポン国王は、タイ国民の敬愛を集め、タイで政情不安が起こるたびに事態を正常化する役割を果たしてきたが、肺の炎症や発熱などで9月から入院している。(c)AFP/Thanaporn Promyamyai