【10月20日 AFP】米国が月での水探査を実施する基礎を築いたエリート科学者が19日、イスラエルに機密情報を渡そうとしたスパイ容疑で米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)に逮捕された。

 米司法省によると、逮捕されたのは米航空宇宙局(NASA)で月の南極における水探査に関する実験に携わっていたスチュワート・ノゼット(Stewart Nozette)容疑者(52)。

 FBIのおとり捜査官をイスラエルの情報機関員と信じたノゼット容疑者は、自らおとり捜査官に接触し、国家防衛に関わる機密情報を手渡そうとした疑いで、米メリーランド州シェビーチェイス(Chevy Chase)で逮捕された。イスラエルは事件に全く関与していないという。

 同容疑者は、数年前まで米エネルギー省が保管する核物質へのアクセス権限を持っていた。

 20日にも予備審問を受ける見通しで、有罪が確定すれば、最高で終身刑が言い渡される可能性がある。

 NASAやエネルギー省のほか、ノゼット容疑者はジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)元大統領の在任時の1989年から90年、ホワイトハウス(White House)で開催される国家宇宙会議(National Space Council)に参加していた。

 米司法省によると、1989年から2006年まで、最重要機密情報へのアクセス権限があったノゼット容疑者は、この間、定期的かつ頻繁(ひんぱん)に国防に関する情報にアクセスしていたという。

 FBIが、ノゼット容疑者をおとり捜査の対象とした経緯は不明。(c)AFP/Kerry Sheridan